講習会報告
2018年7月11日
こんにちは!
埼玉県熊谷市にあるまつだ整形外科クリニックの理学療法士、法貴です。
今回のランニングSOSですが、先日開催した「無料ランニング講座」の報告をさせて頂きたいと思います。
今回、無料ランニング講座を開催させて頂くことになったのは、日々のリハビリでランナーの方の痛みの発症・経過をみていて感じたことがきっかけになっています。
当院には腸脛靱帯炎、膝蓋靱帯炎、足底腱膜炎、アキレス腱炎など様々な原因でランニング中の痛みが出ている方がいらっしゃっています。
そういったランナーの方々を見させて頂くなかで、痛みを我慢して症状が強くなってしまったり、違和感を感じながらも対処法がわからないままランニングを続けていた方などが多くいらっしゃいます。
普段から強い痛みがなければ、なかなか「診察してもらおう」とまでは考えないかもしれません。
日中は家事や仕事で忙しく診察を受ける時間がない、という方もたくさんいるのではないでしょうか。
でも早めに問題点に気づき修正できれば、ランニング障害を未然に防ぐことができることも確かです。
たとえ一度痛みが出てしまっても、問題点がわかっていれば再発の予防につながると思います。
そうしたことから、今回の無料講習会は日頃ランニングを楽しむ皆さんに「自分のカラダについて知ってもらおう」という目的で開催しました。
第1回無料ランニング講習会
そこで、第1回無料ランニング講習会はテーマを<身体作り>として、ランニングに必要な関節や筋の機能がどういったものかを一緒に考え、感じる場にできればと思いました。
場所は健康スポーツクリニックfineで行いました。
参加して頂いた方は全9名で、最年少は小学生、最年長は70代と、幅広い年齢層の方に参加して頂きました。
無料講習会の主なメニュー
①総合的なバランス機能評価
②関節可動域の検査
③筋力の検査
④エクササイズ
⑤バランス機能の再評価
<身体作り>ということでまずは関節可動域や筋力、バランス能力を測るテストを行いました。
関節の硬さや筋力などは、普段の生活の中での姿勢や動作に大きく影響されます。
痛みや違和感がなくても細かく調べてみると関節可動域や筋力に左右差があることは多いです。
日頃から運動をされている参加者の皆さんでも、ひとそれぞれ特徴がみつかりました。
可動域や筋力はどのようにランニングに影響するか考えてみましょう。
例えば股関節の内旋(膝を内側に捻る動き)が少ないひとの場合、同じ側の骨盤が前方に動く範囲が少なくなります。
走る時は足を左右交互に蹴り出しながら前方に直進する訳ですが、股関節の内旋や骨盤の回旋が不足すると、下半身の動きと上半身の動きが対になりません。
通常であれば下半身と上半身は反対に捻ることでお互いの力を打ち消し合い体幹のブレを抑えます。
ここでこの反対の捻りが少ないと、体幹がブレやすく膝や足首といった場所に負担が大きくかかってきます。さらに左右差があればランニングフォームの崩れにもつながってきます。
股関節の内旋は男性の方が硬いことが多いので、皆さんも動かしてみてチェックしてみると良いかもしれません。
股関節以外にも体幹や足関節など走る前にチェックすることでその日の身体の状態を知るサインにもなると思います。
次に、講習会ではその人の苦手な部分(関節・筋が硬い部分、筋が弱い部分など)を集中的にエクササイズしてもらいました。
同じ部位の痛みでもひとそれぞれ原因は異なります。
その人に合ったエクササイズをして苦手分野を克服することが大切です。
今回は少し難易度の高いエクササイズも行いましたが、皆さんきついと言いながらも上手に出来ている方が多かったです。
膝など関節に不安がある方もいらっしゃいましたがエクササイズのやり方を工夫することで痛みなく行なえました。
エクササイズの後に、初めに行ったバランス機能を再評価しました。
今回はバランス能力をランニングに必要なひとつの指標としてエクササイズ前後での変化をチェックすることとしましたが、なぜバランス能力がランニングに必要なのでしょうか。
今回バランス能力のテストとして片脚でのスクワット(エアスタビライザーを使って)や爪先立ちの保持などを行いました。
これらのバランステストは支持基底面(床と足底が接地している面積)を狭くしたり不安定にすることで、あえて身体が動揺するようにしています。
バランスを失うことなくテストが安定して行なえるということは、ランニングの際も身体の動揺を止める必要がないので、それだけ余計なエネルギーを使うことなく省エネに走れることができると言えます。
「省エネで走る」ということはマラソンなど長距離走の世界では「ランニングエコノミーが良い」と言います。
これについては以前もブログで取り上げましたが、ランニングエコノミーが優れている選手ほどタイムが良く、ケニアなどマラソン強豪国の選手は特にこれらの値が良いことが報告されています。
また立位のバランスが安定していると、関節を支える靱帯や筋・腱にかかる負担も最小限で済むので、ランニング障害を引き起こすリスクも低く抑えられます。
障害予防の点からもバランス能力が優れていることはメリットが大きいと言えます。
エクササイズ後のバランス機能は数値が改善している方が多くいらっしゃいました。
9時~11時の2時間と限られた時間でしたが、その人に合った運動が選択できれば身体に変化は出るのだと思います。
何より、スタッフも含め参加者全員でエクササイズを行い、楽しく汗を流せたのが個人的には一番良かったです。
今後も無料講習会など行っていく予定なのでお知らせさせていただきます。
興味がある方はぜひ参加してみてください。
また当院ではランナー向けパーソナルトレーニングも行っています。
ご希望の方は下の連絡先までメールを頂けると幸いです。
質問などもどしどしお待ちしております!
<連絡先>
まつだ整形外科クリニック
Email:mcsifujita@gmail.com
TEL:048-567-0753