ランナーのためのランニング障害SOS

まつだ整形外科クリニック

テーピング【前編】

2017年10月30日

こんにちは!熊谷市のまつだ整形外科クリニック 理学療法士の法貴です。

ランニング障害で生じる痛みへの対処法として、「痛みが出てから」するものと「痛みが出る前に」するものがあると思います。

痛みが出てからの対処法はアイシングや鎮痛剤の服用などがありますね。

痛みが出る前の対処法、言い換えると痛みが出ないようにする対策としては、ストレッチや筋トレなどが挙げられます。

また、オールラウンダーで「どちらにも使えるもの」として、手軽なものだとテーピングがあります。

うまくテーピングを使いこなすことができれば、痛みを未然に防ぐこともできますし、痛めてしまった部位を保護してあげることもできます

ということで、今回から「テーピング」を2回に渡って取り上げてみたいとおもいます。

テーピングの種類

まずはテーピングの種類と基本的な使い方についてです。

テーピングは近年、スポーツ分野だけでなく医療などでも使われることが多く、様々なものが販売されています。
代表的なものはドラッグ・ストアなどでも簡単に購入することが出来ます。
よく使われる代表的なものをみてみましょう。

ホワイトテープ
名前の通り白い色をしていて、ケガの後などによく使われるテープです。
足首の捻挫などで患部を固定したいときにこれを使います。

テープは粘着性ですが伸縮性はないので、関節などを動かないようにして安静を保つことができます。
一般的には関節の周りに貼ることが多いと思います。

伸縮性テープ
茶色や肌色のものが多いですが、最近は蛍光色のカラフルなものもみられるようになりました。
肌に張り付き、テープ自体に伸び縮みをする性質があります。

使い方は様々ですが、主に筋肉や皮膚への作用を目的としていることが多いです。
皮膚に貼付けて引っ張ることで張力を発生させ、筋肉を特定の方向に力が入りやすくしたり、緊張している筋肉を緩める、といったことが可能と言われています。

アンダーラップ
通常、ホワイトテープの下に巻くものです。
ホワイトテープをそのまま巻くと皮膚や体毛が摩擦により痛むので、体表面を保護する目的があります。
テープ自体は非粘着性なので固定の力は弱まります。

他にも最近では防水仕様のテープなどもあるようなので、水中競技など今までではテーピングが使えないような場面でも使用することができるようになってきています。

テープの貼り方

基本的な使い方を説明します。非伸縮性のテープであれば伸び縮みはしないのでそのまま貼れば大丈夫です。

必要に応じてアンダーラップを先に薄く巻きましょう。

急性外傷で患部の腫れが強いときなどは巻く部位と巻く強さに注意しないと腫れを強くしてしまう危険もあるので注意しましょう。
伸縮性のテープでは強く引っ張って貼ることで張力は大きくなり、弱く引っ張ることで張力は小さくなります。

マラソンなどの持久性競技ではあまり張力をつけず、競技の後半に疲労してきたところで効果が出る程度が良いかと思います。

走り始めから痛みがあるような場所に関しては、強めに引っ張ってその部位にかかる負荷を軽くしてあげることも有効かもしれません。

体幹のテーピング

さて、ここからは実際の貼り方を見ていきましょう。伸縮性テープを使用した代表的な方法を紹介します。
まずは体幹です。マラソンは体幹でパフォーマンスが大きく変わると言われるスポーツです。

体幹へのテーピングは足に比べあまり多用されることはないと思いますが、体幹が弱い人、走っていて腰や肩が疲れる人などは効果的だと思います。

①腰
痛みがある部位や走った後に凝りやすい部位を中心に、クロスするように貼ります。
背中が曲がらないようにテープがサポートするので負担が軽減します。

下から上に向かって貼ります。テープの張りを強くしたいときには、あらかじめ腰を少し沿った状態で貼るようにすると、引っ張る力が強くなります。

②骨盤
腹筋が弱い自覚がある人、立った姿勢で骨盤が後ろに倒れやすい人などは貼ってみてください。
骨盤を内側に閉じるような形になるため、腹筋をサポートしてお腹の力が抜けにくいような状態を作ります。

脇腹を触った状態で上から下に手をずらすと骨盤の骨に当たります。

その位置にテープの端を貼りつけ、骨盤を締めるようなイメージで外側から内側に向けて貼ります。

今回紹介した貼り方はあくまでも一例です。同じ部位のランニングによる痛みであってもその強さは人によって違います。

走り始めに痛む人もいれば、20km以降で痛むひともいます。また痛みが生じる要因も様々で、筋力が弱くて負荷がかかる場合、関節が硬くて負荷がかかる場合など、要因によって「どこに・どのように」貼るべきか、が変わってきます。

まずは練習で試しに貼ってみて、痛みの出方が変わってくるかどうかをチェックしてみると良いと思います。

あまり変わらないようであれば貼り方や強さを変えてまた走ってみる。
この一連の作業を繰り返すことで自分に合ったテーピングがわかってくるはずです。

それではこれを踏まえて、次回はテーピング特集の第2回、足編になります!

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