足底腱膜炎(そくてい けんまくえん)
2013年11月3日
こんにちは!
ランニング障害SOSサイト運営している市民ランナー整形外科医の松田です!
最近のランニングブームによる足の障害が増えていますね。中でも足底腱膜炎はその一つです。
特徴がありますので、自分にあてはまるかチェックしてみましょう!
今回も<足のランニング障害>についてです。
足底腱膜炎(そくてい けんまくえん)
足の構造は縦のアーチと横のアーチによって作られています。
この2つのアーチがクッションの役割をはたし、体重を支えたり衝撃を吸収しています。
足底腱膜は踵から足趾の付け根まで、足の裏にある腱様の組織で、足の縦のアーチを支える重要な役割を果たしています。
●病態
足底腱膜が踵骨隆起の内側に付着している部位で炎症を起こしているものです。
この部位には荷重による圧迫や、足底腱膜による牽引が加わるために、大きなストレスが集中します。
ランニングでは、繰り返される衝撃や牽引によって炎症を起こしやすくなります。
●症状の特徴
足底腱膜炎にはその症状に特徴があります。
1) 起床時の最初の一歩目が痛い。
腱の炎症がおさまったり、微細な腱の損傷が修復された後の踏み出しで、負荷がかかり、再び炎症や損傷を起こすためと考えられます。
2) 土踏まずの痛み (女性)
昼寝の後の痛みや、座っていて足を動かさないでいた後に立ちあがって痛みが出るケースが女性に多く見られます。
そして少し歩くと楽になる場合が多いようです。
女性の場合は、ストレスによるホルモンの乱れや、妊娠、出産、更年期などを引きがねとして起こると考えられています。
3) 土踏まずの痛み(ランナーや中高年)
長時間の歩行やランニングで土踏まずが突っ張ってきて痛みを生じます。
マラソンランナーに多く見られます。
このケースは、歩行やランニングのバランスの悪さが一因と思われます。
4)踵骨棘
中高年の男性に多く見られます。
歩行によって踵の部分が当たるような痛みであったり、床に足を着くたびに痛みが生じます。
●診断
踵の足底部やや内側に圧痛を認めます。レントゲンで踵骨隆起の足底部分に骨棘(踵骨棘)を認める事があります。
ただし、この骨棘と症状は必ずしも一致しないことがあります。
●治療方法
1) アーチサポートによるテーピング
2) ヒールカップ(緩衝材)や足底板などのインソール
3) ストレッチ
4) 消炎鎮痛剤の内服や局所麻酔薬の注入
5) 体外衝撃波疼痛治療装置
6) 手術療法(内視鏡下にて足底腱膜を切り離す)
*最近はヒアルロン酸の注入による効果が報告されています。
一般的には保存治療で上記1)-3)および4)で経過をみます。
3か月から3年で90%以上が治癒するとの報告もあります。
足底腱膜炎のまとめ
✔縦のアーチを支える足底腱膜の炎症である。
✔起床時の最初の一歩や土踏まずの痛みが特徴である。
✔テーピングやインソール、ストレッチなど
保存的治療が基本である。
—-あとがき—
日々の診療で確かにランナーの足底腱膜炎は少なくないのですが、全く運動していないような中年女性の足底腱膜炎の方が意外と多いのに驚いています。
やはり、ホルモンの乱れや姿勢などが関係してそうですね。
その場合は、足部のストレッチだけでなく、下腿や膝、腰部のストレッチが大切になりそうです。