膝のランニング障害
2013年11月1日
こんにちは!
ランニング障害SOSサイト運営している市民ランナー整形外科医の松田です!
昨今のランニングブームによる愛好者の増加で当院を受診するランナーが増えてきました。
その多くは膝周囲の痛みです。
今回は<膝のランニング障害>について解説します!
さて、ランニングするうえで、膝関節はどのような役割を担っているでしょうか。
ランニング動作における膝関節の役割
膝関節には3つの大きな役割があります。
1) ストライドを伸ばすために必要な膝関節の伸展機能
2) ピッチを刻んで下肢の回転を上げるための膝関節の引き寄せ動作として必要な屈曲機能
3) 着地したさいの衝撃を和らげるための体重支持機能
ランニング障害は外力や転倒などによる外傷とは異なり、過剰な負荷、ストレスが繰り返しかかるために起こります。
そのため、上記3つのそれぞれの機能への負荷によって生じてくる障害に分けることができます。
これらの機能を頭に入れてそれぞれに特徴的な障害を紹介していきます。
腸脛靭帯炎(ちょうけいじんたいえん)
●病態
長時間のランニングによって大腿骨の外顆と腸脛靭帯が膝関節の屈曲、伸展時に摩擦を繰り返すことによって生じる炎症をいいます。
練習量を急に増やしたり、ほとんど走っていなかった人が急激に練習を始めたりして発症するケースが多いようです。
また、ラニング動作で膝に捻る動作が加わり、腸脛靭帯の緊張が強まってしまうようなランニングフォームも原因です。
●治療
一般的にはストレッチを中心に行います。
特に大腿筋膜張筋を含む腸脛靭帯のストレッチを行い、外側広筋を伸長させるように行うことがポイントです。
また、ランニングフォームが原因のことがあります。多くのケースは股関節が内旋して膝が内側に落ちています。
この場合は走っているときの重心をしっかり意識して、どちらかに倒れ込まないようにする必要があります。
指導者にゆっくりフォームを確認してもらうことをお勧めします。
痛みが強い場合は、アイシングのほかに内服や患部に局所注射を行うことがあります。
何度も再発を繰り返す際は、手術も行うことがあります。
鵞足炎(がそくえん)
●病態
膝関節を屈曲する筋である半腱様筋、薄筋および縫工筋の付着部は、脛骨粗面のうちがわに扇状にひろがって脛骨骨膜に移行しています。
この部分が鵞鳥の足の形に似ているので鵞足炎と言われています。
ランニング動作で膝関節の屈曲時の負荷が過剰にかかり、付着部に炎症を起こします。
膝関節内側の関節裂隙から半膜様筋腱などの付着部である鵞足に圧痛を認めます。
●治療方法
鵞足炎では、ハムストリングのストレッチが大切になってきます。
膝関節の屈曲、股関節の伸展を行う半腱様筋、薄筋、縫工筋の付着部の炎症なので、膝関節の伸展、股関節の屈曲を行う必要があります。
発症直後はアイシングを行います。また消炎鎮痛剤や患部への局所注射を行うこともあります。
膝蓋腱炎(しつがいけんえん)
●病態
膝関節の伸展には大腿四頭筋の収縮が必要です。
そして筋肉のけん引力を下腿に伝える役割を担っているのが膝蓋腱です。
膝蓋腱は膝蓋骨と脛骨をつないでいますが、膝蓋腱の付着部、特に内側に圧痛や腫脹を認めることが多くあります。
●治療方法
基本的には大腿四頭筋のストレッチを行います。このさいに、膝関節の屈曲のみでなく、股関節の伸展もしっかり行いましょう。
また、腱実質が変性している場合や広範囲に及んでいる場合は、慢性に移行するケースも少なくありません。じっくり取り組んでいく必要があります。
なお、消炎鎮痛薬の使用や時に膝蓋腱と膝蓋下脂肪体の境界にヒアルロン酸を注入する方法もあります。
痛みが強い場合はストレッチも無理に行わないように気を付けましょう。
腸脛靭帯炎・鵞足炎・膝蓋靭帯炎のまとめ
✔腸脛靭帯炎 ⇒ 膝関節の屈曲と伸展機構への過剰な負荷
✔鵞足炎 ⇒ 膝関節の屈曲機構への過剰な負荷
✔膝蓋靭帯炎 ⇒ 膝関節の伸展機構への過剰な負荷
いずれも膝関節の局所に過剰な負荷が繰り返された結果生じるもの。ストレッチが大切です!
—あとがき—-
先日、父の誕生日プレゼントを購入しにスポーツオーソリティに出かけてきました。ウインドブレーカーを購入したのですが、最近はオシャレでかっこいいですよね~。
自分用にも欲しくなりました♪