ランナーのためのランニング障害SOS

まつだ整形外科クリニック

膝関節のランニング障害(膝蓋大腿関節障害)

2013年11月1日

こんにちは!

ランニング障害SOSサイト運営している市民ランナー整形外科医の松田です!

外は快晴です!故障していて走れないのはツライですね~(^^;
後でウォーキングに出かけてきます♪

今回も<膝関節のランニング障害>について説明します。
内容は膝蓋大腿関節障害(しつがいだいたい かんせつしょうがい)です。

膝蓋大腿関節障害

●病態
膝蓋大腿関節は、その名の通り大腿骨と膝蓋骨で形成されている関節で、大腿四頭筋の収縮力を脛骨に伝え、膝関節を伸展したり、屈曲したりする動作を円滑に行えるように膝関節の支点になる部分です。

大腿四頭筋の近位(中枢)の付着部は上前腸骨棘など骨盤の外側に存在しているために、四頭筋が収縮すると、外側に押し出される方向へ牽引されます。

そのため、膝蓋大腿関節では大腿骨の外側顆部に膝蓋骨が押し付けられながら収縮力が伝わっていきます。

そこにランニング動作で膝関節に回旋力が加わると、膝蓋大腿関節の軟骨に過剰な負荷がかかり、軟骨障害を引き起こします。

外側に牽引されるために、膝蓋大腿関節軟骨の外側に痛みを生じやすい特徴があります。

●治療方法

基本的には保存療法を行いますが、時に手術を行うケースもあります。

1)保存療法
大腿四頭筋のストレッチを行います。膝蓋大腿関節への圧力の軽減をはかることを目標とします。

そのためには、大腿四頭筋の中でも内側広筋の強化を行い、かかる圧力を外側から内側へ移行していく必要があります。

また、痛みが強い場合やMRIなどで軟骨の損傷が強い場合はヒアルロン酸の注射を行います。

2)手術療法
保存療法にて症状の改善が見られず、関節軟骨の損傷が著しい場合は、外側支持機構の切開による外側の緊張を緩めたり、軟骨の損傷部位に骨穿孔術による繊維軟骨の被覆を図る場合もあります。

オスグッドーシュラッター病

●病態と症状
小学校高学年から中学校の成長期に見られるもので、膝蓋腱の牽引によって脛骨粗面の成長線に過剰な負荷がかかり、成長軟骨部が剥離して生じます。

この症状はランニング動作特有ではなく、大腿四頭筋に繰り返し負担のかかるスポーツ全般で見られます。

ジャンプを多用するバレーボールやバスケットボール、ボールを蹴る際に膝関節を伸展させるサッカーなどの種目でも良く発生します。

●治療方法

発生時期は成長期に限定されるため、運動制限を行い患部への過度の負荷を避けることが大切です。

また、大腿四頭筋のストレッチを行い、必要最小限の運動にとどめることによって、運動を行いながらも剥離骨折の癒合が可能です。

時に、成長期を過ぎて遺残骨片による疼痛が残存している場合は、骨片の摘出術が必要になるケースもあります。

膝蓋大腿関節障害・Osgood-Schlatter病のまとめ

✔膝蓋大腿関節障害 ⇒ 膝関節伸展機構による過剰な負荷
✔Osgood-Schlatter病 ⇒ 膝関節伸展機構による過剰な負荷
成長期限定の発症

●ポイント
疼痛や炎症のある腱や付着部の筋肉は、症状が継続している間は無理できないために筋力が低下しています。

そのため、復帰する場合には「筋力が低下している」ことを考慮して計画することが大切です。

また、障害発生部位の原因となった各部位の筋力を強化したり、柔軟性や可動域の改善を行い、再発を予防することを肝に銘じましょう!

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