走れる心臓・走れない心臓
2014年6月8日
こんにちは!ランニング障害SOSサイトを運営している日本医師ジョガーズ連盟会員ランニングドクター(整形外科医)の松田です!
いかがお過ごしでしょうか。
関東も梅雨に入り、寒暖の差が大きく体調を崩している方が少なくないようですね。
先月は赤城トレイル31キロとカーター記念黒部名水マラソン(フル)と2週連続でのレース参加の疲れもあり、先週から風邪気味です(^^;
そうそう、黒部名水マラソン大会は初のフルマラソンが開催されました。
前夜祭ではあのQちゃんこと高橋尚子さんとも会えました。
記念写真も撮ってきました(^^
さて、今回から「マラソンランナーが知っておきたい心臓について」
紹介したいと思います。
すでに読まれた方も多いかと思いますが、日医ジョガーズ会員で西東京総合病院の雨宮正先生が寄稿されています。
(注)雨宮先生の許可をいただき、要点をまとめて紹介いたします。
いい心臓と悪い心臓
その1.注意を要したい不整脈
ランナーにとっていい心臓とはどんな心臓でしょうか。
専門医(循環器内科)の立場から考えると、ランナーにとってのいい心臓とは二つあるそうです。
その一つが「不整脈がない!」ことです。
今回はこの不整脈についてガイド致しましょう。
そもそも不整脈とは?
心臓には、右心房、右心室、左心房、左心室と4つの部屋(ポンプ)
があります。
これはあなたもご存知ですよね!
体内の細胞で使われた血液は、大静脈を通って心臓の右上にある右心房に入ります。そして右心房から右心室に送り出され、右心室が大きくポンプのように動いて血液は肺に送り出されます。
肺で酸素をたくさん含み、綺麗になった血液は左心房に入り、左心室のポンプで大動脈を通って、体の隅々の細胞に運び込まれます。
心臓にはこのように4つのポンプがあり、リズムよくバランスを取りながら血液を細胞に運んでいます。
この動きをコントロールしているのが「洞結節」という器官です。
これは、体にもとから備わっているペースメーカーのような動きをするものです。
洞結節からの信号がリズムよく出ていれば問題は起こりませんが、リズムが崩れることがあります。
これが「不整脈」です。
注意すべき不整脈
不整脈にはいろいろな種類があり、気にすべきものと、そうでないものがあります。
特に注意すべき不整脈が「心房細動」につながるような不整脈です。
心房細動とは、心房がブルブル震え、ポンプの役割を 果たさなくなることです。
こうなると、心室に血液を送り出せなくなってしまうのです。
すると、1回に送り出す量が少なくなります。
しかし、体は多くの血液を欲しているので、心室は送り出す回数を増やして対応しなければならなくなります。
こうして心拍数が上がるのです。
送り出す回数が1分間に200拍くらいになると、心室も限界を超えて、早い動きからブルブル震えるような動きになってしまいます。
これが「心室細動」で、もはやポンプの役割を果たしません。
血液が体に回らなくなるので、非常に危険です。
AEDのような除細動器を使わないと治らない事態に陥ってしまいます。
不整脈の原因
✔発熱
風邪などをひいて、体温が高くなると不整脈が出やすくなる
✔貧血
貧血は、血液の中の酸素が足りない状態。多くの血液が必要になり、心臓が激しく動く。
✔低酸素
貧血と同じ状態。空気中の酸素濃度が低いと、心臓により多くの血液を循環させようとして不整脈が起こりやすい。
✔脱水
脱水によって血液がドロドロになると、血液の巡りが悪くなり、
心臓に負担がかかる。
✔痛み
痛みを感じると脈が上がりやすくなる。それが不整脈を誘発することがある。
体のコンディションはいつも同じではありません。
自分の体調を見極めることが大切ですね。